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●商店建築に杉原商店が再び掲載されました。20070331●

2007年4月号


【和の伝統素材・特集】

 

 

杉原商店/表現の幅を広げることで更なる技術向上を目指す

●和紙の歴史と変遷

福井県今立町は、2005年に武生市と合併して越前市となったが、古くから和紙の製造が行われており、現在でも半径1キロ程の範囲に60以上の製紙所がひしめき合う、日本最大の和紙の産地である。1500年もの歴史を持つ紙漉きは、中国から伝来した技術であり、いち早く大陸からの文化が入ってきたこの地で大きな技術者集団が形成された。越前特有の美しい水の恩恵によって、柔らかくて良質な和紙と高く評価されるようになった。

和紙が製造され始めた6世紀頃は、仏教文化の伝播にともなって、経文を書き写すためのものとして広まった。その後、平安の貴族文化の頃に、和紙を使った恋文を相手に送る際に、金をあしらったり墨を流すなどしたさまざまな表現の和紙を使ったことで、白く実用的な和紙だけでなくデザイン性の高い和紙が広まったという。

一方、欧米に伝わった中国の紙は洋紙となったが、日本に洋紙技術が伝わって生産が行われたのは19世紀後半の頃。もともと中国の紙が違う形で発達した和紙と洋紙だが、後から入ってきた洋紙も国内で次第に発展・定着し、20世紀前半以降、紙の消費が拡大していくとともに洋紙の生産は爆発的に増えた。更に、住宅様式や消費者のニーズの変化にともなって、和紙業界全体が徐々に衰退したことで、新しい試みと変革が求められている。

こうした背景持つ和紙業界で、現在、生産者と消費者とを結ぶ架け橋となっているのが、今立町で江戸時代から紙業(江戸時代には紙を漉いていた、問屋では無かったため)を営む杉原商店10代目の杉原吉直さんである。

 

●時代のニーズに合わせた新たな提案

「世界的に自然素材志向であり、また和の文化が流行っているため、和紙業界は外から見ると非常に調子がいいと見られてますが、産地にいる私の感覚としては大変厳しい状況にあると思います。和紙はもともとふすまや壁紙、障子紙として使われていたことが多かったのですが、和風建築そのものが減っているため最近では需要もあまりありません。高度経済成長期の頃は住宅をたくさんつくって増やしていたため、大量生産的にふすまをつくってもどんどん売れましたが、越前のふすまはかなり高級品なので、現在では茶室に1枚使ったりする程度です。昔であれば、家1軒建てればふすまを何十枚も貼るのは当たり前でしたが、最近はそういう建物が建ちませんから」

和紙の需要が落ち込んでいるのは、何も内装材に限ったことではない。例えば、かつては結婚式の招待状や卒業証書が大量につくられていたが、挙式スタイルの変化や少子化によって需要は落ち込んでいる。他にも、2009年から株券を電子化する制度がスタートすることで、これまですべて和紙でつくられていた株券用紙の供給もストップするため、影響が出ることは間違いない。「これらに置き換わった新たな需要もありますが、一つのものが大量に売れるという時代ではなくなっているのでしょう。だからこそ、新しい用途の開発や、今あるものの新たな使い方、現代のニーズに合わせたものを提案していかなくてなりません」(杉原さん)。

 

●和紙を内装材に

何もしなければ状況は悪化するだけと感じた杉原さんは、2002年のIPEC21に初めて出展。その時に、建築やインテリアに使われる和紙の需要は思いのほか多いと感じたという。「それ以前にも、オリジナルでこんなものをつくれないか?というインテリアデザイナーからの依頼も少しはありましたが、それが大きな流れになるとは思っていませんでした。ただ、面白い表情の和紙を各製紙所が作り始めていた頃だったので、それらを集めてIPECに持っていったことで、それを見た方からこんなこともできるんじゃないのかという依頼を受けることが増えました。内装材としての和紙をてこ入れすることで、和紙の新たな需要を生むことができると感じるきっかけになりました」

更に、IPECでの入賞を機にパリ国際家具見本市(ムーブル・パリ)からも招聘(招待されたというと微妙にニュアンスが異なるため)され3年連続で出展したりと、世界へアピールする機会も増えた。それでも内装材として使われる和紙の売り上げは、現状でも全体の1割弱程度なので、「まだ新規事業という感覚が正直なところ。和紙で表現できることが意外と知られていないため、アピールしがいがあるし、更に和紙を生かせる分野だと思っている」と杉原さんは言う。

 

●原料による用途や仕上がりの違い

和紙の原料には、楮、三椏、雁皮、麻などがある。中国から和紙作りの技術が伝来した当初は麻を使用していたが、徐々に日本に自生する楮や雁皮に置き換えていった。麻の繊維は顔料に対して発色が良いため、現在麻を入れている和紙はほとんど日本画用である。

雁皮は光沢が美しく、文字も書きやすい最高級の紙と言われるが、栽培ができないため山に自生しているものを採ってくるしかなく、大量生産には向かない。その雁皮の代用品として比較的最近使われ始めたのが三椏である。三椏の樹皮には強い繊維があり、しわになりにくい(?そのような事を申しましたでしょうか?なにか、別な意味だと思いますが・・・)ので和紙の原材料としては高級だが、繊維をほぐす際にチリが多く出る植物である。漂白の技術が上がったことできれいに仕上げられるようになり、紙幣や証券として使われるようになった。楮は一般的な原料だが、産地によって品質が大きく異なる。「現在は栃木や茨城を産地とする那須楮が最高級品とされていますが、土佐楮を混ぜることで少し硬めになったりするなど、用途に合わせて原材料を使い分けています」(杉原さん)。

 

●さまざまな機能を持つ和紙

長い繊維の原料を使用する和紙は、繊維同士が緊密に絡み合うことで薄くて強靭な紙をつくることができる。これは、トロロアオイの根などから抽出した粘剤(ねり)を混ぜることによって、長い繊維を薄く均一に漉くことのできる「流し漉き」という日本独特の技法が確立されたためだ。「西洋の紙は繊維を粉末状にした木質パルプを固めてつくるため、コンクリートの感覚に近い。それに対して和紙は、“ねり”があることで繊維が均一に分散されて積層され、また適度にすき間もあって伸び縮みする柔軟な素材」と杉原さんは言う。保存性や耐久性にも優れる和紙は、洋紙の寿命が100年程度であるのに対し、1000年以上の耐久性がある。これは、繊維の長い原料を使っていること、繊維をバラバラにほぐす際に損傷が少なく、自然のままの丈夫さを保っていること、漉く時の酸性度がアルカリから中性の範囲にあることなどが考えられる。

更に、天然素材であるため、調湿機能や保温効果を持ちながら通気性がある、タバコの煙などの有害物質を吸着するといった機能性を持つ。また、洋紙は厚くて光を通さないが、和紙は明かりとの相性が良く、光を適度に通して拡散するため面として使用した時に空間全体を明るくしてくれる。こういった特徴は、照明器具や内装材に用いる際のメリットと言えるだろう。

 

●濡れる、燃える

和紙を使用する上での最大のデメリットは、水と火に弱いことである。天然の植物を原料としている和紙が、水に濡れて破れたり、燃えてしまうのは当然のこと。しかし最近では、薬剤を塗ったり吹き付けたりすることで、撥水加工や不燃加工を施すことができる。薬品の種類によっては紙の強度が落ちてしまうこともあるが、こういった加工を施しても見た目が大きく変化することはないため、用途の幅も広い。しかし、「そういった加工をすることで、和紙の良さを殺してしまう気がする」と杉原さんは言う。「撥水加工をすることで水を吸ったり吐いたりしなくなるため、湿度を調整する機能を失うでしょう。また不燃加工した燃えない和紙は、廃棄してもそのまま残ってしまいます。薬品自体がほんの数年前から出てきたものばかりなので、数年後、数十年後にどうなるかというデータも今はありません。紙だけでなく、環境にとっても本当に良いかどうかを考えると、水に濡れる、燃えるという前提で使うのが理想であると思います」。

 

●多彩な表現方法

インテリアの仕上げ材として使用されることの増えた和紙だが、「建築家やデザイナーにサンプル帳を見せると、“こんなこともできるのか”と驚かれる」と杉原さんが話すように、さまざまな表現ができる可能性を秘めた素材と言える。

漉いている段階の和紙に水滴を落とすことで穴のあいたパターンをつくる落水柄、原料の繊維を長いまま使用してグリッドやパターンをつくったもの、和紙の厚みを部分的に変える透かしの技法を施したもの、異なる和紙を貼り合わせて柄やグラデーションを表現したものなど、実に多彩。和紙の中にLEDを漉き込むなど、立体的なものでも和紙と一緒に漉き込んで一体化することもできる。最近では、インクジェットプリンターに対応できる和紙が開発されるなど、原料から見直して新しい表現に挑戦することもある。また、インテリアで和紙を使う場合には、一枚でもオーダーメードでつくれるため、デザイナーのさまざまな要求にも応えられる。大きなものでもそれに対応できる漉き舟さえあれば製作可能で、意匠だけでなくさまざまなサイズにも柔軟に対応できる和紙の自由度は高い。

 

●現代の感覚と和紙技術の融合

さまざまな分野の人々と仕事をする機会が増えたことで、自分たちが想像もしなかった和紙の使い方や表現方法があることに気付かされたと杉原さんは話す。「ファッションデザイナーからの依頼で和紙の帽子をつくったのですが、柔らかい質感ではなくて、硬くてガサガサしている方が良いと言われました。私も含めて作り手は、和紙の持つ柔らかさが良いと思っていますから、そこから外れるような仕上げや使い方には懐疑的でした。しかし、使う人は違う観点で和紙を見ることもありますから、自分達がダメだと思っているものの中に消費者の求めるイメージに近いものがあることもあります。だからこそ、トレンドに敏感なデザイナーと一緒に仕事をする意味は大きい。色を黒くしたいという要望があった時も、職人は難色を示したのですが、いざやってみると非常に良いと感じました。彼らの持っている現代の感覚と和紙の技術とを融合させることで、今までにない和紙の表現が可能になるのだと思います」(杉原さん)。

デザイナーとのコミュニケーションを通じて職人の固定観念が払拭されることで、技術は向上し、表現の幅は広がっていく。「できる技術を把握することでイメージを具現化し、それを発信して伝えるのが私の役目」と言う杉原さんは、もっとたくさんのデザイナーに和紙の可能性を知ってもらい、和紙の魅力を引き出してほしいと考えている

安澤さま、長時間ありがとうございました。

私の思いが充分に伝わる記事にしていただき、感謝しております。


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