washiya 杉原商店 和紙っていいよね・・・通信 vol. 3
和紙屋杉ちゃんのひとりごと 4月号 2000/04/01
■□■ 今回のみどころ ■□■
1) 奉書について
2) 女性が紙を漉く?
3) リーバイスの和紙ジーンズ&ブエナビスタソシアルクラブ
4) 驚いちゃった話
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1)奉書
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洋紙屋さんで「奉書」と言うと一番安い和紙と言った意味になったりします。
扱う人が違うと全く違うモノを指してしまいます。
今回は奉書のお話です。
そもそも奉書とは「武家社会で公文書の料紙として用いた厚い楮紙」とあります。
歴史も古く1338年に名付けられ、越前の特産品でした。
名前の通り、天皇や将軍の意見や決定を「奉じる」紙で、その後盛んに全国で
「 奉書」と呼ばれる紙が生産されるようになります。
通常はここで、岩野市兵衛さん(お父さんは人間国宝)へと繋がるわけですが、
ちょっと視点を変えます。
今回は「越前奉書」の職人、岩野秀雄さんのレポートをお届けします。
秀雄さんは、代々の紙漉き職人の家庭に生まれ、小学校の頃から親の紙漉きを
習って(♪親も子も漉く孫も漉く〜♪の歌の文句そのまま)いたそうです。
戦時中は学徒動員で町内の軍事工場(ここでは紙漉き工場)で満州のお札の抄紙
を手伝われたそうです。
やがて戦争が終わり元の奉書漉きに戻ります。勿論この奉書とは楮100パーセント
の今で言う「生漉き奉書」でした。
しかし戦後物資の不足により、どの様に紙を漉くか死活問題だったと考えられます。
それまでの楮を主体とした原料ではとても供給しきれない状況だったでしょう。
ここで止むを得ず原料にパルプを混抄する事が始まったと考えられます。
当時は「原料入り」と呼ばれたそうです。
これは私の推測ですが、このように全国的な奉書不足を解消するため(好意的に見れば)
全国あらゆる産地で機械漉き奉書が生産されるようになりました。
何しろ、一番有名な越前奉書でさえパルプが入っている訳ですから、大手を振って「奉書」
の名をつけられたのだとも思います。
さてさて、しかし、しかしながら、私は「でも違う」と言いたいのです。
現在パルプで漉かれる「越前奉書」は正直大変残念ですが、しかし全く別物なのです。
岩野秀雄さんが漉かれる奉書は腰があり、「シャッキリ」していて肌合いも素晴らしい
です。品位を感じます。
原料は同じ様なパルプかも知れませんが仕上がりが全く違います。
恐らく、ねり漉きによる繊維の絡み合いの妙と、「板」に依る乾燥工程等々が、
この当たり前の原料に息吹を吹き込むのだと思います。
ちなみに越前奉書と名の付く奉書は全て(勿論岩野市兵衛さんも含め)乾燥に使われる板
は雌銀杏の木の一枚板で乾燥されます。
その昔、紙漉き場では良く火事があり、真っ先に職人が救おうとするのはこの「板」
だったそうです。
この板が紙の表情を決定づけます。代わりの板など、もう二度と手に入りません。
職人さん方はみな、この貴重な板を修理しながら大切に大切に使い続けて居られます。
越前では岩野秀雄さん、市兵衛さん以外にも、現在もこの伝統ある越前奉書を漉き続けて
居られる職人さんがいらっしゃいます。
三田村蔵次さん、二三四長次さん、岩野友蔵さん、川崎三郎兵衛さん、広田与市さん、
佐々木一さん、山口悦司さん、山口和夫さんなど。(順序不同)
さてさて、また長くなったので、今回はこの辺で。
==岩野秀雄さんご夫婦の今月の表情==

http://www.washiya.com/meister/iwano-hideo-1.jpg

http://www.washiya.com/meister/iwano-hideo-2.jpg
==現在供給可能な、岩野さんの和紙==

http://www.washiya.com/sample/hagoromo-0001.jpg
そう言えばうちの事務所に「第4回内国勧業博覧会褒状」なる古い賞状が掛かってます。
本政奉書、岡本村杉原半四郎、明治28年7月11日・・・

http://www.washiya.com/meister/houjou.jpg
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2) 和紙は女性が漉く?
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越前では女性が紙を漉き、男性が貼り場(乾燥)を行う割合が多いです。
・・・今回取材の岩野秀雄さんもそのパターンです。尤も秀雄さんは紙も漉きますが・・・
昔は五箇に嫁に来るとは、紙を漉くと、同義語でした。(今はそんなことを言ったら
嫁さんが来ません)
女性が漉くのは川上御前からの流れ(紙の神様は女神様なので)カナ?と思ってました。
もしくは、乾燥のほうが板を動かしたりして体力が要るから男性が担当しているのかと、
勝手に想像していたのですが以前、因州に見学に伺ったら全く逆でした。男性が紙漉きして、
女性が力強く(そう見えました)貼り場をされていました。確か美濃もそうだった気がします。
所変われば、紙漉きも変わるといったところでしょうか?
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3) リーバイスの和紙ジーンズ
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ふと、雑誌を見ると「和紙デニム」なる言葉を発見。
「和紙の繊維をミックスした糸で織りあげた新素材の『和紙デニム』を使ったジーンズ。
9800円リーバイストラウスジャパン」とのこと。
ご丁寧にリーバイスではなく「りーばいす」とひらがなで、和調の説明書きが付くそうです。
一本買うか・・・Levis 503-1601
♪♪♪ちょっと音楽な話♪♪♪
先日「ブエナビスタ・ソシアルクラブ」を観ました。
キューバの愛すべきジイサン達に不思議な感動を覚え「ああいう風に年を取るのは悪くない
」と。そして、その悲しげな音楽に魅了されまたまたCDを衝動買いしてしまいました。
代々続くベース奏者、代々続くパーカッション屋・・・このジイサン達が、代々続く紙漉き
職人にオーバーラップしたのかも?
一つのことを一生やり続けるってカッコイイ!
早くジイサンになりたい??
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4) 驚いた話。
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先日、わがみ堂の浅野さんから聞いた話です。
スペインの女性が、言いました。
「フィリピンやタイの紙はナチュラルだが、日本の和紙はアンナチュラルだ!」
これって凄い見識です。
私たちの当たり前の感覚が、世界の非常識??
たしかに、素晴らしい技術と技で作られる越前奉書や薄美濃なんかは、
その繊細さが理解
できない西洋人にとっては、余りに人智を越えた技のためにアンナチュラル?
とでも思えるのか?
腹立たしさを通り越して、背筋が寒くなりました。
でも、何だか解る気もする自分も恐いです。
彼女が悪いのか?私が悪いのか?(たぶん私がおかしいのです・・・)
一方でこの西洋人の感覚を逆手にとった商品開発も必要かも知れません。
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続いてもう一つ、驚いた商品
「無印良品」で、耳付き名刺を発見。
・・・へ〜西武も和紙を販売するか?と、思って良く見たら
MADE IN KOREAの文字、確かに「手漉き紙」とは記載されてますが「和紙」
とは書かれて
いません。うーむ、うーむ
●手漉き紙メッセージカード(名刺)
●手漉き紙はがき
●手漉き紙便箋
●手漉き紙一筆箋
しかし、これでいいのか・・・うーむ
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■□■編集後記■□■
最近メーリングリストも活発になってきて、これからが楽しみです。
メーリングリストへの参加はホームページのトップからどうぞ
http://www.washiya.com/
そういえば・・・
和紙の老舗、日本橋の小津さんが楽天市場に出店されました。
凄い商品量です。ますます増えるのでしょうか?
http://www.rakuten.co.jp/ozuwashi/all.html
ちなみに私共のちぎってシリーズもここで購入できます。
http://www.rakuten.co.jp/ozuwashi/382891/384335/
ネット販売で成功するのは一握りだろうと言われています。
がんばって下さい。(小西さん、末永さん)
「街角でこんな素敵な和紙を見つけた。私のお薦め和紙活用法、今度こんなイベントを
開催する予定」・・・等々、和紙情報をお寄せ下さい。
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<越前紙漉き歌>
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