washiya 杉原商店 和紙っていいよね・・・通信 vol. 2

     和紙屋杉ちゃんのひとりごと 3月号 2000/03/01

          http://www.washiya.com



今年の2月は例年に無く、久しぶりに雪が降り続けました。
福井は雪国だったと久しぶりに実感!それでも昔に比べれば大したことありません。
(56豪雪には、雪に閉ざされたもんな〜)
驚くことに、この和紙のメールマガジンも、読者が増えてまいりました。
よ〜し!今月も張り切って行きましょう!

 ■□■ 今回のみどころ ■□■

1) 大礼紙とオボナイ紙
  
2) 和紙は寒漉き?

3) メーリングリストのさらなるお誘い

4) これからの流行色

============================================================

1)大礼紙とオボナイ紙
   
============================================================
●大礼紙●
和紙の代名詞と言えるほど、スタンダードな商品になりましたが、
この大礼紙と言う言葉自体が越前和紙協同組合の登録商標だとは、
余り知られていません。と言いますのも、この商品が開発された当時に
登録商標を取得すると言う考え自体が無かったのです。
今回は長編、大礼紙についてのお話です・・・

さて、そもそも大礼紙は、この呼び名になる前の大正時代に山川源太郎さん
(故人)によってすでに発案されており、やがて昭和の時代となり、昭和3年の
天皇即位式の「大礼」にちなんで、大礼紙と名付けられたと、聞いております。
ちなみに、山川さんはそのご子息国友さんから、さらにお孫さんの富数さんへと
現在も手漉き和紙を漉き続けておられます。


==山川さんの今月の抄紙風景==

http://www.washiya.com/meister/yamakawa-1.jpg

http://www.washiya.com/meister/yamakawa-2.jpg


http://www.washiya.com/meister/yamakawa-tomikazu-1.jpg


==現在供給可能な、山川さんの和紙==

http://www.washiya.com/sample/hagoromo-0137.jpg
はごろも見本帳の136番〜(残念ながら大礼紙じゃないです・・・)

この「大礼紙」の特徴とも言える繊維の結束は、今でこそ和紙辞典などにも
「楮をトロロアオイと明礬で凝固させて花弁の様にする」とありますように、
技法はかなりオープンになってしまいましたが、当時は秘伝とも言える技法で
ございまして、私も詳細な部分は秘密とさて頂こうと思います。この結束の事を
地元では「花(華)」と呼びます。この花を作る工程は何度見ても綺麗で、
水桶の中に可愛い花が結束して揺らぐ様子は、素晴らしく、心が洗われます。
(その内機会が御座いましたら、また別にお見せしましょう。)
==大礼紙の画像==

http://www.washiya.com/sample/hagoromo-0045.jpg
はごろも見本帳の34番〜

●大光紙●
やがて時代が進み、楮だけでなく、レーヨンで花を作る事も始まりました。
私たちは楮の大礼と混同しないように、敢えてレーヨンの花の大礼は「大光紙」
と呼びます。
「楮の花」が落ちついた自然な仕上がりなのに比べ、「レーヨンの花」は
ピカピカ光るのが特徴です。このピカピカが高級に見えるか、安っぽく
見えるかは意見の分かれるところです。
==大光紙の画像==(大礼との違いがスキャナーで読みとれるか??)

http://www.washiya.com/sample/hagoromo-0062.jpg
はごろも見本帳の58番〜

【20080305追記】
越前和紙協同組合において、「大礼」の明確な定義を定めました。
「本大礼(ほんたいれい)」楮100パーセントの花を使用
「大礼(たいれい)」少しでも楮を含む花を使用
「レーヨン大礼」レーヨン100パーセントの花を使用

 

●オボナイ紙●
さらに話は続き、オボナイ紙と言う和紙がございます。
不思議な事にこの品名!和紙なのにカタカナですし、明確な定義すらありません。
大まかな認識として「花がたくさん入っている大礼紙」と言う程度です。
実はこの名前は、海外で名付けられて逆輸入された名前らしいのです。
ちなみに記録に依りますと、昭和10年頃、滝匠(たくみ)さん(故人)が工夫を
凝らした紙で、海外から大量の注文があり盛んに抄造されたそうです。洋紙の
オボナイト紙との関連もありそうですが、憶測の域を出ず、はっきりした名前の
由来は明らかになっておりません。(情報をお待ちします)
==オボナイ紙の画像==

http://www.washiya.com/sample/hagoromo-0088.jpg
はごろも見本帳の88.89.90番

蛇足ながら、滝匠さんをから始まる、まさに匠の流れは、和紙加工技術職人として
現在も営々と越前和紙に受け継がれ続けております。
和紙の加工技術については、いずれ改めて特集したいと思っています。

***ちょっと一息***
今回は越前で代表的とも言える大礼紙ということで調べるうちに、種類が
広がってしまいました。
本当はもっと広がりそう(羽二重紙など)だったのですが、取りあえず
今回はこの辺で打ち止めです。
次回に乞うご期待・・・

============================================================

2) 和紙は寒漉き?

============================================================
「和紙は寒漉きに限る」
と、言われます。
2月は立春も過ぎてからまたまた大雪、まさに寒漉きと言える時期でした。
しかし、この寒漉きに限るとは、繊維がしまっていい紙になるとか、
解釈されてますが、実際のところ一番の違いは単純明快気温の違いです。
気温が低いために、和紙漉きに欠かせない「ねり」の粘性が長持ちするのです。
これが夏になりますと、肝心の粘性が数日で無くなってしまいその都度「ねり」を
作るといった手間がかかります。冬の抄造にはこの様な手間が少ないために
安定して抄造に専念できると言うのが、本当のトコロらしいです。

===========
ついでに越前の雪景色を覗いてみたい・・・?(ちなみに会社の倉庫です。)

http://www.washiya.com/view/2000.02yuki.jpg

============================================================

3) メーリングリストのさらなるお誘い

============================================================
 和紙好きの人々に・・・

メーリングリストを作りました。和紙に関心がある方ならどなたでも参加可能です。
ホームページに入会用のフォームを設置しましたので、アドレスを入力して
いただいて送信するだけでOKです。退会も自由です。もちろん無料。
http://www.washiya.com
もしくは私に直接メール下さい。
mailto:sugihara@washiya.com

「和紙に関する有益なネットワークに発展すればいいな・・・」って思ってます。
いまのところ会員15名でボチボチと言ったところ?
是非ご登録下さい。

♪♪♪ちょっと音楽な話♪♪♪
ナニ!サンタナがグラミー賞?!あのオヂさん、まだ頑張っていたのか・・・
と、衝動買い。雪景色にはミスマッチなはずの熱いリズムに、
なぜかニンマリしてしまうのでした。

============================================================

4) これからの流行色

============================================================
これからの流行色は従来のパステル調やくすんだ色合いに代わり、健康的な色、
澄んだ色に変化して行くそうです。
これからのモノ作りの参考まで。
そういえば・・・

============================================================

■□■編集後記■□■

創刊号で、イサムノグチにちらりと触れましたが、氏の情報サイトが御座いました
ので、参考まで・・・
◆「イサム・ノグチ プライベートツアー」
http://www.consolstile.com/noguchi/index.shtml
世界的に偉大な日系アメリカ人彫刻家、故イサム・ノグチ氏の情報サイト

無事編集を終えてほっとしております。(まだ2刊目なのに・・・)
もっと上手くホームページと連動させて、画像も賢い使い方があるのかも知れません。
読むモノはメールで、画像はホームページで、と言う使い分けがいいのかな?
とも思ってます。
ご意見などありましたら是非お聞かせ下さい。
また、私より数段和紙にお詳しい方が読者にたくさん居られます。不適切な表現など
御座いましたら何なりとご指摘頂ければ幸いです。
問題が多すぎて指摘できない・・・かも知れませんけど・・・

最近感動した言葉・・・
「遠くの親戚よりも、ネットの他人」   いや〜お見事!

本通信は転送は自由です。その時は下記署名と一緒にお願いいたしますね。

:・'★彡゜'・:*:.。.:☆彡*:・'゜:*:・'゜★彡。.:*:・'゜:・'゜☆彡。.:

 〜神の授けをそのまま継いで〜親も子も漉く孫も漉く〜♪ 
                       <越前紙漉き歌>
 ⊥  △   
 ''  §''§  
◆!◆ ◇▽◇   ♪五箇に生まれた〜 杉原吉直
HHHH HHHH     mailto:sugihara@washiya.com

==ちょっと宣伝==
●ついに!羽二重紙は杉原商店の登録商品となりました。
●フアックス 0778-42-0144
●和紙情報満載の楽しいページです。
 http://www.washiya.com/

============================================================
★「杉ちゃんのひとりごと」の配信アドレスの登録、削除、変更は
http://www.washiya.com/magazine/magazine.html
にて、手続きをお願いいたします。


本ページは杉原吉直すぎはらよしなおが保守しています。
〒915-0235株式会社杉原商店
福井県今立郡今立町不老17-2
TEL0778-42-0032 FAX0778-42-0144
mailto:sugihara@washiya.com
http://www.washiya.com
ご意見・ご要望などはご遠慮なく E-mail sugihara@washiya.com

All right reserved Copyright(C)Y.SUGIHARA 1999-12 このサイト内容の無断掲載を禁じます。ご一報下さい。

[washiya.com 和紙屋のトップページ]
[ちぎってシリーズ] [羽二重紙] [リンク集]